TOP山行報告

鹿島槍ヶ岳報告

                   関西蛍雪山岳会

◆日   程 :平成26年12月27〜30日

◆メ ン バ ーL)吉田()SL)村上、装)岩田、食)野木、食)望月、食)井元、友)深谷

◆行    程

<予定>

45日。大谷原〜高千穂平〜冷池山荘〜鹿島槍ヶ岳南峰〜冷池山荘〜爺ヶ岳〜爺ヶ岳東尾根〜鹿島

<結果>

27日:駐車場(8:00) 〜 大谷原(8:201050M) 〜 西俣出合(10:301350M)〜 赤岩尾根テン場(15:201650M)

 28日:4時起床6:15発 〜 高千穂平(9:202049M) 〜 赤岩尾根の頭(13:202488M)

冷池山荘(14:102410M)

29日:4時起床6:10発 〜 布引山(8:052683M) 〜 鹿島槍ヶ岳南峰(9:05202889M)〜 冷池山荘(11:0012:00) 〜 赤岩尾根の頭(13:0010) 〜 雪壁下部(14:10) 〜 赤岩尾根テン場(16:001900M)

30日:5時起床7:30発 〜 1600M(8:30) 〜登り返し〜 赤岩尾根1900M(10:30)1650M(12:00) 〜 西俣出合(13:001350M) 〜 大谷原(15:15) 〜 駐車場(15:40)

 

◆行   動

【27日(土):晴】

前夜22時大阪発。5時半、鹿島槍スポーツヴィレッジにて東京からバスで直行の深谷氏と合流。コンビニで買い出し後、7時、車デポ地となる駐車場着。身支度を整え8時出発。今回目指すは、12年前・5年前の冬合宿で苦しくも敗退した赤岩尾根〜鹿島槍である。12年前はいろいろあって敗退。5年前は大雪により敗退している。今回は3060代の旬なおっさん揃いに美女一人である。

以降、隊列は望月、井元、村上、深谷、野木、岩田、吉田の順であり、随時ローテーションする。西俣出合までの林道は、おしなべて膝下程度のラッセルである。半ばからワカンをつける。ワカン装着の間、後方から来た外国の山スキーヤー3名が追い越して行く。10時半、西俣出合につく。先行のスキーヤーは、北股本谷に向かってゆく。

 

 

 

 

   

林道のラッセル           西俣出合からの赤岩尾根

我々は堰堤トンネル付近で雪に埋もれた大冷沢を渡り、夏道をトラバースし赤岩尾根に取りつこうと考える。沢を渡ると斜面上方で学生の集団が雪訓している。聞くと彼らは高千穂平手前まで行ったものの敗退を決め下山してきたもよう。赤岩尾根に平行した北側の尾根(無名)に進路をとったことが敗因であったとのこと。斜面を見上げると学生達のトレースが見える。

我々は夏道を横目にトレースを辿り登高開始する。ある程度高度を上げたところでトラバースし赤岩尾根にのるもくろみである。我々は高度を上げてゆく。時折、見通しが利き赤岩尾根方面をみるも高度を上げるほど傾斜がきつくなり、トラバースに切り替える状況ではなくなる。トラバースできたとしても赤岩尾根との間にもう一つある小尾根をラッセルで乗り越すことはできなさそうである。やむなくこの無名尾根を上へ上へと登ることを続ける。我々の足回りはワカンである。次第に傾斜が立ってくる。ピッケルをしっかり効かせ、しっかり蹴り込み、時に慎重に登る。いや登攀する。落ちてはいけないという場面も幾度かある。我々はノーヘル+ワカン+フリー&ラッセルである。幹や露出した根があればそれを掴み、足を掛け、よじ登る。これはこれで赤岩尾根では味わえない面白いものがある。当夜岩田氏曰く3程度であったとのこと。

         

     赤岩尾根の登り            急登樹林帯の登り

 

標高1600M程まで高度を上げると尾根間の距離は縮まっており、赤岩尾根へ移れそうな斜面が現れる。我々はここをトラバースすることに決める。村上氏を先頭に野木氏が続き雪崩を気にしながら間隔をあけてトラバースする。雪はしっかりしている。ようやく赤岩尾根上(15:201650M)に出る。西俣出合からここまで5時間かけてかせいだ高度は約300Mである。偶然にも2張りできるスペースがあったため、ここをテン場とする。

我々は井元氏用意の豚汁をおいしくほおばり、呑み、深谷氏のザックから溢れる肴と十川氏差し入れの肴をつまみ、20時前、寝る。風、降雪ともほとんどなく穏やかな夜であった。

 

【28日(日):晴】

4時起床、615分、元の隊列で出発。膝上程度のラッセルである。望月氏、朝一のラッセルを頑張る。ローテーションしながら高度を上げる。約3時間で高千穂平に着く。過去2回の冬合宿では、この付近で幕営後下山している。今回は今のところ天候にも恵まれ先に進む。一歩前進である。鹿島槍東尾根、冷尾根が明瞭に見える。ラッセルはさほどでもない。そこから3時間少々で稜線への最後の雪壁に到達する。 

   

朝日を受けての登行     高千穂平からの上部     稜線への雪壁

雪壁では基部から数十mトラバースし、ブッシュが点在するルートに進路をとる。視界は良好、ロープ不要である。先頭は野木氏であり、よいペースで直登する。雪壁上部で

野木氏と2番手との差が開く。村上氏が2番手に「おおーい!が〜んばれよぉ〜」と声をかける。2番手頑張る。岩田氏はラストで皆を見守る。13時過ぎ、我々は赤岩尾根の頭に着く。野木氏が鹿島槍をバックに写真を撮ってくれる。隊列を整え、我々は冷池山荘を目指す。最低鞍部からは樹林帯であり膝〜腰までのラッセルとなる。時折足下が抜けはまり込む。14時過ぎ、冷池山荘に着く。

我々は山荘内の避難部屋にテントを張り、しばし落ち着く。16時前、村上氏が天気図を書くべくラジオをあわせるも“ザー”となるのみで受信できず。ビーコンは全員オフにしている。経験的に後立は受信し易いと思うも受信できず。ラジオを順に回し受信を試みる。望月氏の番になるとラジオは何故か“ビー”と反応する。きっと何かをしのばせているのだろう。我々は、念のため持参した週間天気図、深谷氏の携帯で得た天気情報をもとに29日以降の行動を考える。入山前から皆わかっていたことであるが、29日から徐々に荒天となってゆく。29日は南岸低気圧通過に伴う降雪、30日は日本海側の弱い低気圧の進行に伴う疑似好天→悪天、31日も日本海側からの別の低気圧の進行に伴う疑似好天→暴風雪が予想される。予備日は使わないことを前提に行動したいと思う。ゆえに当初の予定を改め、我々は“鹿島槍南峰登頂後、赤岩尾根を下山”、“鹿島槍には行かず、冷池から爺東尾根を下山”の2択で進路を決めることとする。両者とも荒天となる前に高度を下げ、下山を図るものである。晩飯の間各々一考し、改めて各自の意見を聞くこととする。

我々は井元氏用意のとり鍋をおいしくほおばり、呑み、深谷氏のザックからこぼれ出る肴をいただき、そして各自の意見を聞く。全員一致で、“鹿島槍南峰登頂後、赤岩尾根下山”となる。改めて呑み、20時前寝る。風は雪を伴い、次第に強くなってゆく。

 

       

    剱 岳                鹿島槍ヶ岳

【29日(月):やや風雪/雪】

4時起床、避難部屋内で出発準備を整える。本日前半は稜線歩きゆえラッセルやバーンの歩行が予想される。ゆえに足回りはアイゼンワカンとする。アイゼンを付け、ストレートのワカンを持つものはワカンをひっくり返し、先が反ったワカンを持つものは通常の向きで装着する。同じアイゼンをもつ数人が、取り違えてセットしている。「サイズが小さかったので穴をかえてはいた。」という人もいる。昨日の行動で縮んだと思ったもよう。つわものである。持ち物には目印が必要と思う。気をとりなおして610分、隊列を整え出発。山荘と鹿島槍間は高低差約500M、往復5時間の予想である。我々は9時に折り返すこととして鹿島槍南峰を目指す。昨晩の降雪は30cm程度と多くはない。風もそれほどではない。

我々は樹林帯の縁辺部を進行する。樹林を抜けるまでは膝程度のラッセルである。8時過ぎ、布引山に着く。折り返しまで残り約1時間、我々は小休止後、鹿島槍南峰を目指すこととする。視界は良好である。鹿島槍への登りは岩肌が見え隠れするバーンである。95分、南峰2889Mに着く。気温は-6℃であり寒くはない。ここでワカンを外しアイゼンとなる。我々は握手を交わし、各々写真を撮り、記念撮影後、冷池へ戻ることとする。

風は弱く、降雪はない。一瞬晴れ間も見える。11時冷池山荘に着く。テントの撤収・身支度をし12時、赤岩尾根へ向け出発する。曇天となり雪が降り始める。足回りはアイゼンである。

13時、赤岩尾根の頭に着く。ここからは昨日登った雪壁の下降である。視界はよく雪壁の下部まで見通せる。ロープなしでもよさそうであるが、雪崩の恐れもあるため使用する。赤岩尾根の頭で確保しながら、望月氏から順に下降する。雪壁中央でピッチをきり、さらに下降する。雪壁下部のトラバースを終えるも、もう一ピッチ小ピークを越えるためにロープをのばす。14時半小ピークを越えたところでロープをしまう。

    

稜線からの下降       灌木でビレイ        小ピークを越える

 

ここで、赤岩尾根を登って来た東京の5人程のパーティーとすれ違う。彼らのトレースが残っている。我々は順調に高度を下げる。小一時間も経つと先にすれ違ったパーティーのトレースが降雪のため半ば消えている。時に完全に消えている。我々が進行することで小規模な表層雪崩が時折おこる。16時、樹林内の平場(1900M)をテン場とし、本日の行動を終える。

我々は、望月氏用意のマーボー春雨丼をおいしくいただき、呑み、深谷氏のザックから見え隠れする肴を平らげ、呑み、21時、寝る。

 

【30日(火):雪】

5時起床。7時半、隊列を整え出発。足回りはアイゼンである。我々は下山ルートらしき方面を下る。18001700M付近まで下ったところで、我々は“ん?これは赤岩尾根だろうか?”と思い始める。尾根の形状がさほど明瞭ではない。しかし磁石は赤岩尾根と同じ東南東を差している。視界はあまり効かない。そのまま1600M(8:30)まで高度を下げたところで、左手・北側に今いる尾根より顕著な尾根が視界に入る。我々は“あれが赤岩尾根では”と思う。支尾根を下っていたことに気付く。我々は“尾根間の新雪の積もるルンゼを横切り、赤岩尾根に取りつくか”、“登り返すか”どちらをとるか考える。登り返すこととする。我々は標高差300M登り返し10時半、本日の出発地点(1900M)に着く。出発から3時間かけ振り出しに戻った。

     

1900m地点          登り返し           急な下降

小休止後、気をとりなおして隊列を整え、進路を慎重に定めて下山開始する。我々はしっかり赤岩尾根を下っている。順調に高度を下げる。赤岩尾根の末端を経て13時、西俣出合に着く。

                   西俣出合に着く

 

小休止する。ここから大谷原まではなだらかな林道である。我々はアイゼンを外してワカンを付ける。5年前の冬合宿ではこの林道を突破し大谷原に至るまでなんと8時間要している。当時は腹位のラッセルが延々と続いた。しかし今回のラッセル深さは腿程度であるため、適当な時間にゴールできると思う。大谷原に向け出発する。

我々はしばらく、適宜交代しながら普通にラッセルし前進する。ここで岩田氏、いろいろ試してみようとおっしゃる。まずは“先頭はもっとスピードを上げて全力でラッセルし、スピードが落ちたところで交代する”これは本来すべき方法でもある。これにより全体のスピードが上がる。しばらく続ける。よいペースである。次に“先頭は10歩全力で走り、交代する”走れと言われても腿までのラッセルである。これはきつい、息があがる。各々10歩全力疾走でラッセルした後、後方に回るも息が整う前に次の順番がくる。めまぐるしいことこの上ない。全体のスピードは猛烈である。笑ってしまう。次は、村上氏発案の“やや早目のラッセルで30歩交代”これは適度である。そうこうしているうちに高度が下がりラッセルも浅くなってゆく。15時過ぎ、大谷原に着く。岩田氏のおかげで早く着いた。小休止し、16時前、駐車場に着く。

大町温泉郷で温泉に浸かる。時間もおしているので今晩どうするかという話となる。どこかでテントを張ってもよいが、深谷氏が松本のビジネスホテルをおさえてくれる。我々は松本に移動し、そこそこ呑み、食い、寝る。

翌朝、帰阪する。

 

今回、当初の進路を変更したとは言え、鹿島槍に登頂し、隊全員のおかげで荒天前に皆が無事下山できた。実りある冬合宿であったと思う。

 

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