懸垂下降の際2本のロープを フィギュアエイトノットで結束し、バックアップとして末端を結び目に折り返して入れる方法を誤り、結び目が解けて墜落する事故が相次いでいます。
1999年松木沢、2004年6月谷川岳、そして我々にとって身近な不動岩でも同じ原因と思われる墜落事故が起きました。(事故者死亡のため真実は分かっていませ ん。)
フィギュアエイトノットのバックアップとして末端を結び目に入れる(目に手を入れる3Dエクストラパス)処理をする際に、通すべき部分(目)を誤ったことが原因と思われます。
折り返す方法そのものは間違いではありませんが、このように立て続けに事故が起きている現実からみて、間違えやすく事故につながる危険性が高い方法であると思わざるを得ませ ん。「目」を間違えて折り返して結び目が解けた事故はフィギュアエイトノットだけではな くオーバーハンドノットでも起きています。
大阪岳連におきましても遭対・指導各委員会として、今後この方法を「使わない」「教え ない」旨、申し合わせが行われました。
もし、懸垂下降時に2本のロープ結束にフィギュアエイトノットあるいはオーバーハンド ノットを使用し、末端を結び目に折り返して入れる方法をバックアップとしている方がおら れましたら今後「使わない」「教えない」を徹底して頂くようお願いいたします。
尚、フィギュアエイトノットは2本のロープを結束する結び方としては不適切であるとする論文や実験事例等も発表されていますが、あくまでも誤った末端処理(バックアップ)による事故を防ぐために出した「緊急アピール」です。したがって特定の結び方を推奨したり逆に否定したりするものではありません。(文中の「末端」とは、2本のロープを結束した時の結び目に近い方の事を指します。)
(文責)遭難対策委員会
石田 英行