一般社団法人 大阪府山岳連盟
大阪府山岳連盟は、健全な登山の普及啓発に努め、登山を通じてスポーツの振興に寄与します。
 >金剛山減遭難活動報告

2022 7月

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1年を通じて登山の知識や技術を学ぶ登山教室「山スクール」。 目的別に4クラスに分かれた、それぞれの活動レポートです。
初心者クラスに相当する「トレッキング1クラス」の活動レポートです。
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岩登り、雪山技術の習熟を目指す「アルパイン2クラス」の活動レポートです。

 >金剛山減遭難活動報告

〈寄稿〉大阪・兵庫で始まった減遭難活動

関西大学名誉教授 青山千彰

我国の山岳遭難事故の特徴は、2000年に遭難者総数1494人を記録した後、2018年で3129人と最高値を示すまで、約20年にわたり右肩上がりの増加傾向を示してきました。幸い2020年には高齢化やコロナ災禍の影響などで、僅かに減少しましたが、今後、減少に転じるかどうか分かりません。

しかし、遭難対策活動は、長年、社会問題となるものの、注意喚起などの呼びかけ以外に具体的な対策は取られませんでした。事故の発生があまりにも広範囲で対策の取りようがなかったのです。そこで、具体的な数値目標を設定し、遭難者を減らす「減遭難活動」を2012年より開始しました。ここで、「減遭難」という用語は、「防災」の世界で、災害を完全に防ぐ事は難しいため、少しでも被災程度を減らす「減災」活動の考え方を参考に、山岳遭難も、事故をゼロにする「遭難防止」は難しく、事故数を少しでも減らす運動を「減遭難」としたものです。

(公社)日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)における減遭難活動は、遭難者総数を1000人台に戻す「ストップザ1000」という運動を開始するとともに、全国3箇所(大阪金剛山、兵庫六甲山、奥多摩山域)にモデル区を設定し、その範囲内での事故者数を減らす運動を開始しました。

減遭難活動の特徴は、山岳団体が独自に活動して、効果を得ることが難しいことです。事故が発生する山域に関係した地元行政や山岳団体が、それぞれの特長を生かし、共同作業して初めて成果を得ることができると考えられますが、まだ、どのようにすれば一番効果的であるのか、模索中の段階です。モデル区設定の目的は、活動方法のあり方を検討し、そこから得られたノウハウを全国に広げていく点にあると言えるでしょう。

幸い、大阪では、14の大阪、奈良関係行政機関と山岳団体から構成された「金剛山安全対策連絡会」を発足しました。事故のデータベースを基に、様々な登山道で、何故、道迷い事故や転倒・滑落事故が発生したのか分析し、その対策方法を検討します。そして、地権者問題などに配慮しながら、危険箇所を知らせる案内板を設置する段階にまで至っています。もちろん、この活動は長い時間をかけて、設置箇所での事故発生状況を観察しながら、減遭難の有効性を検討する予定です。

青山千彰(あおやまちあき)
長年、道迷い遭難のメカニズム解明に取り組む。・関西大学名誉教授(工学博士)・国際山岳連盟(UIAA)委員・(公社)日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)理事、遭難対策委員会常任委員・日本山岳SAR研究機構(IMSAR)会長・(一社)大阪府山岳連盟顧問など

官民一体となった減遭難活動

一人でも多くの方が安全に楽しく「山」を楽しめると願いを込めて、減遭難活動始まりました。

金剛山系における減遭難活動、きっかけは当地を所轄する大阪府の方に「金剛山系の事故マップを作り、遭難事故抑止に活用できないか?」と問題提起したのが始まりでした。当初は金剛山系でそんなに事故は起きていないだろうというほどの気持ちでしたが、関係機関への取材を通じて、死亡事故を始め毎年多くの方が事故に遭われている事が分かりました。

また(公社)日本山岳・スポーツクライミング協会でも、遭難対策委員会が中心となり「減遭難」活動が動き出していました。それに歩調を合わせる意味で大阪府と協議を重ねた結果「金剛山安全対策推進連絡会」の設置となり、遭難メカニズムの第一人者青山千彰先生を中心とした官民一体となった減遭難活動が始まった次第です。

さて、多くの方に人気の高い金剛山には幾多もの「道」があります。しかしそのほとんどは管理者が不明であったり、地権者に知らされることなく愛好者によって登山道化されたり、また案内看板がつけられていたりしています。利用するうちに踏み固められ、道のようになっている箇所も多くあります。

ご承知のように、私達の意思に反して自然災害は毎年のように起き、山の地形は絶えず変化しています。そのような中で愛好者の方のご厚意も、自然によってもたらされる変容に責任を持ってすべてに対応できるものではありません。また管理者不明の道では、崩落の危険を内在したまま放置されているところもあります。そのような道を私達は「勝手道」と呼び、危険度の高いルートであるとの警鐘を鳴らしてまいります。

自分の判断で山歩きができる上級者の方は、地形や天候など自然の状況を考慮しながら山を楽しめるでしょうが、山登りを始めたばかりの初心者や、まだ経験の少ない初級者の方が多く楽しまれるこのエリアでは、「案内看板」や「しっかりした踏み後」だけでは危険であるかないかの判断がつかず、ましてや絶えず変容する自然の中では遭難を招く可能性が高まります。実際、遭難事故に遭われているのは、勝手道での転倒・滑落が多数を占めます。

決してルートを塞ぐことが目的ではありません。このような活動に反論される方もおられることでしょう。また、もっと良い方法もあるかと存じます。現在、市町村、消防、警察、地元山岳会のご協力によって遭難事故場所や特徴のデータベース化を進めています。同時に、最適な表示とはどういうものか、どのように設置すれば良いかなどの研究も進めています。

まずは、大阪府が管理する伏見林道(念仏坂)から山上に至るルートから始めましたが、すべての方の安全登山に役立つよう、今後隣接県山岳連盟を含めた官民一体となり、協力しながら進めて行く所存ですので、どうかご理解のほどお願いいたします。

 (一社)大阪府山岳連盟 専務理事 石田英行

(公社)日本山岳・スポーツクライミング協会 遭難対策委員会副委員長
日本山岳SAR研究機構(IMSAR)副理事長・事務局長

 

金剛山域における山岳遭難事故を減らす活動を行ってまいります。

(一社)大阪府山岳連盟では、大阪府や関係自治体、消防・警察など諸団体と協同して、金剛山域における遭難事故ケガから利用者の安全を確保するために、登山道における注意喚起などの安全対策を推進してまいります。

 

このコーナーで、その活動の様子などをご報告してまいりますので、皆様の安全登山のお役に立てばと願っております。

技術遭難対策委員会自然環境委員会が協力して担当し、成果をみながら関係先とも緊密に連携し他の山域にも広げていく予定です。

どうか宜しくお願い致します。