一般社団法人 大阪府山岳連盟
大阪府山岳連盟は、健全な登山の普及啓発に努め、登山を通じてスポーツの振興に寄与します。
〈会員情報〉やまゆき会会員渡辺正美氏「4000名山」登頂達成
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〈会員情報〉やまゆき会会員渡辺正美氏「4000名山」登頂達成

4000名山とは、(公社)日本山岳会編集の山岳辞典「新日本山岳誌(*)に掲載された、北は択捉島から南は西表島までの全国約3000の山座と、周辺の約1000山の事。

渡辺氏は、2008年11月福島北「霊山」を皮切りに、2022年7月北海道中央三山「空沼岳」に至るまで、転勤族の有利さを活かして車中泊での日帰り山行を重ね、15年をかけて全国4000山を踏破しました。今回は、それを記念してやまゆき会室内例会で発表された、氏の偉業をお伝えします。

きっかけ

きっかけは、300名山登頂達成後に紹介され手にした1冊の本、「新日本山岳誌(*)」。未知の山に対するあこがれや好奇心が湧いてきて、地図から浮かぶ山と実際の山を眺め比べることで、毎回陣取りゲームのように地図を塗りつぶしていく面白さにも取りつかれ、毎週末ごとに挑戦する日々が続きました。

山行スタイル

毎週土曜発で車中泊し、山頂まで日帰りピストンする繰り返し。時折会社に認められる連続休暇を利用して遠方まで出かけます。ただ、仕事柄8回の転勤があったのも後押しになりました。

1~2月の厳冬期は登らず、沢とか岩ではない基本的に歩いて登れるところをシンプルに往復するのが基本。天候不順の際には決して無理はしません。

愛用品

60Lのザックに、おにぎりと水、バンダナ(帽子やハンカチを忘れた時にかなり重宝)、手袋・クマよけ鈴・コンパスは紛失などに備えて複数持ち、ビバーグなどの救急用具を詰め、冬場はアイゼンを付けずスパイク付きの山作業用長靴を愛用。

記録

記録はメモ書きでも手帳にマメにつけます。山の見方が変わり、違った時期に登ると、また山の楽しみも増えます。ただ写真は一日1枚、山頂での記録写真しか撮りません。そのあたりは、皆さんと違うかもしれませんね。

思い出の山「伝説のハイカー編」

  • 「硫黄岳2454m(北アルプス)2015年10月」夕方登頂し下山時にビバーグ。翌午前中に下山後カメラがないのがわかり、再度登り返して山頂に忘れたカメラを取り戻した。翌日大雨だったので、まだ幸運の内だったと納得する。
  • 「知床岳1254m(北海道)2022年4月」這いつくばりながら進んだ固い残雪、深いハイマツの藪漕ぎ、また稜線で浴びる冷たいオホーツクの烈風、カチカチに凍った尾根など悪戦苦闘したが、北方領土を目前にして感慨深いものがあった。
  • 「札内岳1895mなど日高山脈(北海道)2012年7月、2014年7月」懐が深いのでビバーグするが、一帯ではとてもダニに苦労した。また残雪にはクマの足跡もあり、恐怖との戦だった。
  • 「五番森1048m(奥羽山脈)」この時初めて長い距離を歩き、山歩きの可能性を広げた。

特に反省の多い山

  • 「藪山2山(岐阜・奥美濃)2017年4月」残雪期で水量多く、渡渉時にバランスを崩して転倒びしょ濡れに。安易に渡渉はしない。膝より上だと流され、どこにつくかわからないことを痛感。
  • 「桧山992m(新潟)2011年5月」下山時急斜面で強引に下ったところ2度滑落。偶然止まったから良かったものの強引な行動を戒めた。
  • 「福島と山形県境の山2011年9月」安易にトライしたものの登りで蜂に刺されて気が動転し、それが原因で道迷いに。その後、藪漕ぎで体力を消耗し、滝つぼに転落するなど体力も食料も尽きた中2日間彷徨った。幻覚も見えてきた中で沢筋を下ってなんとか下山。親族に迎えに来てもらいそのまま病院に直行し、急性腎不全で1週間入院。幸いに後遺症はないが、会社と親族には頭が上がらない。

体力の秘訣

  • よく食べ、体幹を鍛えている(太極拳とヨガ:指導員の資格がある)
  • 毎朝の準備体操や柔軟体操。腹筋、背筋は一回20分ほど行う。
  • 毎日9000~10000は歩く。
  • 良く寝ること
  • 毎週1回でも山を歩くと体力が全然違う。自然に体力がついてくる。山歩きできなくても運動する。階段歩きなど普段より負荷をかけると、登る身体が作れる。

現在4170峰

残された山は、北方領土を始め植物保護による入山禁止区域。また鹿児島、沖縄両県の離島に広がるジャングル地帯など。時間的にも金銭的にも、なかなか行けるところではないが、チャンスがあれば一つひとつ踏んでみたい。しかし最近は、花を愛でたり、森に関心を寄せたりと、山を色々と楽しむようになっています。

得たもの・失ったもの

全国の山を歩け、自然の大きさを肌で感じました。彩雲(縦の虹)など珍しい現象、キタキツネなどの希少動物、またクマの気配に驚いたこともあります。何より、北海道から九州まで広がっているブナ森の豊かさが印象的です。失ったものは、たくさんの時間・お金・モノ、ですね!

山岳会から得たもの

山は一人歩きが多いですが、情報交換は貴重です。また大峰奥駆は、やまゆき会のサポートを受けることで達成できました。皆さんと顔を合わせると、身近に山の話ができる。また皆さんの顔が浮かぶと、苦難に陥っても無事に帰らねばという思いで乗り越えることができる。

普段から山の話ができる仲間が「気持ちのよりどころ」。山岳会は「心の支え」です。

渡辺正美氏

会員歴:(やまゆき会)2001年、(日本山岳会岩手支部)1998年

出身地:福島県

転勤歴:入会時大阪、その後岐阜、静岡、松山、福島(2回)、横浜、神戸と転勤

4000名山の足跡が、やまゆき会HPで紹介されています。

http://kh411712-yamayuki.o.oo7.jp/

(*)「新日本山岳誌」:山の選定、調査、執筆などに、日本山岳会の会員約470名始め、多数の資料提供・協力を得て編集された山の解説書。深田久弥氏選定の日本百名山はもとより、各地の地元で愛されている無名の山々まで、全国約4000山の最新情報が満載されている。2005年出版。

(編集後記)4000山と一口に言われて、ピンとくる方は相当な猛者だと思う。孤高の峰から原風景にある里山まで、思い浮かべることさえできない数だ。またどのような条件下であれ一人で踏破するというのは、もう神様の領域ではないのかと思わずにはおれない。山岳修験者は、悟りを目指して修行を積むのだろうが、修行のように氏を突き動かした源泉は何なのだろう。そして、山頂を目指す先には何が見えていたのだろう。「山の仲間が気持ちのよりどころ、山岳会は心の支え」・・・踏破した山は途方もない数だが、それを支えてきた仲間はそれ以上、もっと途方もない数に上るはずだ。そういう意味で4000山は、氏と氏を囲む仲間とともに成しえた偉業なのは間違いない。もう少し、偉業を探ってみたいと思う。取材:大阪府山岳連盟・佐伯典昭(広報)

山岳会の活動を取材し、このHPで紹介します。お気軽にお声がけください。

お問い合わせ – 一般社団法人 大阪府山岳連盟 (sangaku-osaka.com)

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